車のあれこれ

電子車検証のメリット・デメリットを徹底解剖!あなたはどっちを選ぶ?

2024年10月9日

車検の時期がやってくる度に「車検証はどこにあったかな」と気になってくる方は多いと思います。恐らくほとんどの方はダッシュボードのファイルに入れていると思いますが、紙ベースで管理しているとどうしても紛失のリスクや、いざ車検となっても持参し忘れてしまう等のデメリットがありますよね。

そんな折に入ってきた車検証電子化の情報ですが、果たして車検証を電子化することで利用者にとってどのような変化があるのでしょうか。デジタル化の流れで車検証サイズが大幅に小さくなるなど、持ち運びや保管はとても便利になった印象を受けます。

利便性を図るために様々なメリットがある一方で、ユーザーが気を付けなければならない点がいくつかあるようです。この記事では、車検証電子化の目的からメリットやデメリットについて、電子化によって私たちの生活にどのような影響があるのかについて解説していきます。ご参考にしていただければ幸いです。

車検証電子化とは何か

これまで車のグローブボックス等で保管されていたA4サイズの車検証が電子化されます。サイズはA6相当で、ハガキの大きさと同じです。

電子化と聞いて完全にペーパーレス化になるイメージを持ちましたが、実際は少し異なりましたね。それでも物理的に保管しやすく、持ち運びしやすいため利便性が高まっているのではないでしょうか。

ここでは車検証電子化についての背景や目的、これまで使用していた紙の車検証との違いについて解説していきます。

電子化の背景と目的

車検証が電子化される背景には、国を挙げてのデジタル化の推進が背景となっています。DX化を進める中で道路運送車両法施行規則等が改正されたことにより、2023年1月4日から新車購入や車検手続きを行った車を対象に、電子車検証の交付が始まっています。

ちなみに軽自動車は2024年1月4日から交付開始となります。電子化に伴ってサイズが小さくなるだけでなく、車検証の記載事項を簡素化し、持ち運びや保管が簡単にできるようにしています。具体的には従来のA4サイズからA6相当に変更されています。

グローブボックスの隅に収まるコンパクトサイズですので、車内スペースを有効に使用できますね。

紙の車検証との違い

A6サイズになっても特に変わらないでしょ、と感じている方は多いのですが、電子車検証はICタグを内蔵しているため、いろいろと注意が必要です。

例えば、これまでの車検証のように、折り曲げはできません。なぜなら、電子車検証本体に組み込まれているICタグを損傷してしまう原因となるからです。

また、車内における厳しい環境下に放置もできません。車内ダッシュボード上など、夏場にはかなり高温になる場所での放置や、ジュースやお茶をこぼし水濡れさせるのも厳禁です。

濡れて汚れてしまったからと言って、ドライヤーや電子レンジ等での乾燥は、ICタグを壊してしまう可能性もあるのでやめておきましょう。

これまでとは異なり、内蔵されているデータが損傷を受けてしまうと再交付を受けなくてはなりません。ディーラー等に頼むとそれなりの料金が発生しますし、頑張って陸運局に行く手もありますが、多くの労力がかかり大変です。取り扱いには十分注意しましょう。

電子化がもたらすメリットとデメリット

車をリースするメリット

日本全体がDXを進めている現状を踏まえると、車検証の電子化は必然的であり、様々なメリットがあるように感じます。しかし、その分気をつけなくてはならないことが何点かあります。

あらかじめデメリットについて確認しておき、自家用車の車検証が電子化された際に対応できるようにしておきましょう。

利便性の向上と手続きの簡素化

電子化により、車検証のサイズが変わって便利になりました。これまでA4だった車検証のサイズは、A6相当に変更されています。文庫本と同じぐらいのため、物理的な保管や持ち運びがしやすくなりました。

また、電子車検証を専用の車検証閲覧アプリに読み取らせることで、車検証情報をいつでも確認できるようになりました。

これまでは車検時や名義変更を行った際の車検証交付時に、車の所有者や代行業者が、運輸支局等で書類ベースでの手続きを行わなければなりませんでした。

しかし近年はデジタル化を目的として、紙によって行われていた手続きをインターネット上で行う「OSS(自動車保有関係手続きのワンストップサービス)」が進められています。
これにより、車検手続きの時間の短縮に繋がりました。

ちなみに、スマホやパソコンを持っていない人でも、車検証情報を確認することが当面の間は可能です。一定期間ではありますが、電子化制度開始から最低3年間は紙ベースで見られます。

運輸支局や軽自動車検査協会の窓口において「自動車検査証記録事項」を電子車検証と同時に発行しなくてはならないとされているためです。

セキュリティリスクと情報の保護

電子車検証は、専用の車検証閲覧アプリに読み取らせることが可能です。このアプリによって、車検証紛失や車検証に記載してある個人情報流出のリスクを減らすことが可能であり、過去には窓ガラスを破られて車検証情報を盗まれる事件もありましたので、今後はその辺りの情報が保護されるのがメリットですね。

また、 パソコンに接続したICリーダーを使えば車検証情報を読み取ることも可能です。ディーラー等において車検証情報ファイルのPDF出力や、リコール情報を照合することも可能です。

電子化が変える自動車業界と私たちの生活

電子車検証の発行で、自動車業界や私たちの生活には具体的にどのような変化がもたらされるのでしょうか。

一つひとつ具体的に分析していきましょう。

自動車業界への影響と新しいサービス

車検証が電子化されることで、主にディーラー等業者側で対応が変わってきます。特に車検手続きが非常にスムーズになるのがメリットですね。

電子化以降はわざわざ陸運局まで出向かずとも車検証情報を更新できる他、車検完了後の車検証発行までの流れも非常にスムーズに進めることができます。

それに伴い閲覧アプリが利用可能となりますが、車検証情報の確認のほか、データ出力、リコール情報の表示、車検証有効期間のお知らせサービスを利用することができます。

個人ユーザーへの影響と必要な準備

車検証の電子化に伴い、個人ユーザーが注意しなければならない点もいくつか存在します。車検証自体のサイズが小さくなり、持ち運び含めた管理は楽になりますが、保管時に注意が必要です。

特にICタグが付いている関係で、折り曲がらないように専用ケースに入れる必要があります。業者側で用意してくれるとは思いますが、なるべくそのケースに入れて保管しましょう。

また夏場など車内が高音になるシーンで、グローブボックスの上に保管しているとICを損傷する可能性があります。必ず収納箇所に入れておきましょう。

行政機関の取り組みと今後の展望

今回の車検証電子化については、行政が以前から取り組んでいるワンストップサービス(OSS)が背景となっています。OSSにおいて、新車新規登録や中古車新規登録、移転登録や変更登録、一時抹消登録や永久抹消登録まで、様々な手続きがインターネット上で完結するようになります。

今後は車検証の電子化によって、一部の手続きにおいて陸運局へ行く必要が無くなるため、業者側においては業務効率が非常に良くなると期待されています。

昨今の人手不足を踏まえて、デジタル化の進展によって働きやすい環境が整備されるのは大きなメリットと言えるでしょう。

導入スケジュールと現状

車検証電子化に関する具体的なスケジュールを確認し、今後の展望を見ていきましょう。

各段階の進捗状況

普通自動車の電子車検証は2023年1月〜、軽自動車の電子車検証は2024年1月〜発行開始となります。新車登録時や中古車購入時などのタイミングを含め随時変更がかけられていきます。

まだ段階的に進んでいるところであり、現在紙ベースの車検証を保持している人が一斉に切り替えないといけない訳ではありませんので、現時点では過渡期となっています。

今後の展望と課題

電子車検証を導入することにより、該当の車両に関する登録番号などの基礎的な情報だけではなく、自賠責保険証もまとめてデータ管理することが可能になります。

それぞれ紙媒体で管理されていた個別の情報を、1枚の電子車検証でまとめて管理することができるようになるため、情報管理がこれまでよりも容易になると考えられます。

デジタル化の進展により、個人ユーザーだけでなく業者としても手続きがスムーズに進められるようになるため、業務効率が良くなるでしょう。

ただし、スマートフォンやPCを持っていない方はすぐに情報を確認できない場合もあるため、課題が残っていると言えます。

情報照会について、例えばコンビニや郵便局等の第三者機関などに委託する等して提携することができれば、ユーザーにとっても利用しやすくなると考えられます。

まとめ

車検証の電子化は、利便性の向上や手続きの簡素化など多くのメリットをもたらします。
サイズが小さくなり、データ管理が容易になる一方で、ICタグの取り扱いには注意が必要です。自動車業界や個人ユーザーの生活に大きな変化をもたらすこの施策は、行政のデジタル化推進の一環として進められています。
今後は、さらなる利便性向上や課題解決が期待されます。電子化の波に乗り遅れないよう、ユーザーも新しいシステムへの理解を深めていくことが大切でしょう。

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