車のメンテナンス

車のサスペンション種類と選び方ガイド

2024年7月31日

車の乗り心地を快適にするため、サスペンションは車の足回りに必要な部品です。また、車高を調整したりするなどのドレスアップ効果もあります。

この記事では、車のサスペンションの基礎知識と種類、サスペンションの選び方や交換費用なども解説いたします。車のサスペンションに興味がある方は、ぜひ一度ご覧になってみてください。

サスペンションの基礎知識

そもそもサスペンションの役割とは何なのか、サスペンションにどんな種類があるのかをご紹介します。

サスペンションの役割と機能

車のサスペンションはタイヤとボディの間に位置しています。車両を支え、車の乗り心地やハンドリングを安定させるなど、車において重要な役割を果たしています。サスペンションが劣化すると地面からの衝撃を逃がすことができなくなるので、運転時の疲れやケガなどにつながる恐れもあります。

サスペンションの構造と構成要素

車のサスペンションは主に以下の3つで構成されています。

  • コイルスプリング
  • ショックアブソーバー
  • サスペンションアーム

コイルスプリング

金属製のらせん状のバネで、路面からの振動を緩和させるはたらきをします。太くて巻き数がよければ高性能というわけではなく、それぞれの車両に合ったコイルスプリングを選ぶことが重要です。

ショックアブソーバー

ショックアブソーバーは別名でダンパーとも呼ばれ、筒状の形をしています。コイルスプリングはバネによって路面からの振動を緩和させますが、ショックアブソーバーはその振動をおさえる役割を果たします。

ショックアブソーバーはコーナリングやブレーキの時にも揺れをおさえます。これにより車両の安定性が向上し、安全な運転が可能となっているのです。

サスペンションアーム

路面の凹凸に対してタイヤが上下に動く際、その動きを調整するのがサスペンションアームです。タイヤを正しい位置に戻す役割を果たすため、車両の安定性と操縦性を向上させます。

主要なサスペンションの種類

サスペンションの種類は、主に以下の6つに分けられます。

  • ストラット式
  • ダブルウィッシュボーン式
  • マルチリンク式
  • トーションビーム式
  • リジットアクスル式
  • その他種類(エアサスペンションなど)

それぞれの種類の内容について、順番にご紹介いたします。

ストラット式

ストラット式は、1本のサスペンションアームとスプリングが一体となってタイヤを支える、シンプルな仕組みです。
部品数も少なく、重量も削減することが可能なので、乗用車からスポーツカーにいたるまで幅広く採用されています。

ダブルウィッシュボーン式

タイヤが取り付けられるナックルという部品を、V字型のアームで上下からはさんでタイヤを支えます。アームが2つあることでタイヤの安定性が高まり、乗り心地がよくなります。
安定性の高いダブルウィッシュボーン式のサスペンションですが、部品数が多く、構造も複雑です。ストラット式と異なり、スポーツカーや、スペースに余裕のある高級車に採用されています。

マルチリンク式

ダブルウィッシュボーンより、さらにアームを増やした構造のサスペンションです。どのサスペンションよりも安定した走行性能を持っているのが特徴です。
フロントサスをダブルウィッシュボーン、リアサスをマルチリンク式など自由に設計することが可能で、おもにスポーツカーや高級車に使われることが多いサスペンションです。

トーションビーム式

左右にあるアームで車軸を固定し、車の振動をおさえます。作りがシンプルでコストをおさえられるので、主に小型車に採用されています。

リジッドアクスル式

リジットアクスル式は、1本の車軸にタイヤが繋がれており、タイヤの左右がシーソーのような動きをします。
ひとつのタイヤが押し上げられると、もう一方のタイヤは押し下げられるので、山道などの悪路走行に向いています。
主にトラックや4WD車などに採用されています。

その他の種類 (エアサスペンションなど)

金属を利用したサスペンション以外に、空気のバネを利用したエアサスペンションなどもあります。
エアバッグの中の空気圧を調整して車高を上げたり下げたりすることで、乗り心地をよくしています。
主に高級車や大型バスなどに使用されていますが、部品数も多く、定期的なメンテナンスが必要です。乗り心地や使い勝手はいいですが、コストが上がってしまう点については注意が必要です。

あなたの車に最適なサスペンションの選び方

自分の車に合う最適なサスペンションは、車の種類や走行シーン、乗り心地を重視するのかなどによって変わってきます。
それぞれ状況にあったサスペンションをご紹介いたします。

車種別の選び方

車種別のサスペンションの選び方をご紹介いたします。

サスペンションの種類 車種
ストラット式 軽自動車、小型車、スポーツカー、セダンなど
ダブルウィッシュボーン式 高級セダン、スポーツカー
マルチリンク式 高級車、スポーツカー
トーションビーム式 軽自動車、小型車
リジットアクスル式 軽トラック、4WD車、オフロード車
エアサスペンション 高級車、大型バス

走行シーン別の選び方

走行シーン別のサスペンションの選び方をご紹介いたします。

サスペンションの種類 走行シーン
ストラット式 一般道路
ダブルウィッシュボーン式 スポーツ走行時
マルチリンク式 ダブルウィッシュボーンの進化版。スポーツ走行時
トーションビーム式 一般道路
リジットアクスル式 重い荷物を運ぶ時、悪路走行時
エアサスペンション 長距離移動時など

乗り心地重視か、スポーツ走行重視か

サスペンションを選ぶ基準は、乗り心地重視かスポーツ走行重視かの2つに分けられます。

乗り心地重視の場合は、柔らかめのサスペンションを選ぶようにしましょう。小さなお子様や高齢者の方が同乗するケースが多い場合は、柔らかめのサスペンションを選ぶことによって路面のショックを吸収し、運転の不快感を軽減できます。

反対にスポーツ走行重視の場合は、固めのサスペンションを選びます。サスペンションが固いことによって乗り心地は悪くなりますが、スムーズなコーナリングや安定した高速走行が可能となります。

サスペンション交換のタイミングと費用

サスペンションの寿命は、走行距離や部品の劣化などによって交換時期が変わってきます。サスペンションの交換時期の目安と、交換費用の相場をご紹介いたします。

劣化を知らせるサイン

車を運転中、以下のような症状が出た場合、サスペンションが劣化している可能性が高くなります。早めに整備工場などで点検を受けるようにしてください。

  • 乗り心地が悪い
  • 車の運転が安定しない
  • 車体が揺れる
  • 運転中にギシギシ、ゴトゴトなどの異音がする

交換時期の目安

以下の表は、車の走行距離による交換時期の目安です。また、サスペンションは走行距離だけではなく、走行する環境などによっても劣化が進みますのでご注意ください。

山間部やでこぼこした道を走ることが多い場合、以下の表より早めに寿命がくる場合もありますので、定期的に整備工場などでサスペンションの状態もチェックしてもらうようにしましょう。

部品 交換目安の走行距離
ショックアブソーバー 5万キロ前後
コイルスプリング 10万キロ前後
サスペンションアーム 目立つ破損やサビがある時
ゴム、ブッシュ類 8万キロ前後

交換費用相場

交換費用の相場は以下の通りです。サスペンションの交換や修理に関しては一度サスペンションを分解しなければなりません。部品代よりも工賃が高くなるケースも多く、サスペンションの交換に関しては高額になることが多い傾向にあります。

部品 交換費用の相場(工賃含む)
ショックアブソーバー 2万円前後
コイルスプリング 5万円前後
サスペンションアーム 7万円前後
ゴム、ブッシュ類 2万円前後

まとめ

これまでサスペンションの種類や選び方、交換費用の相場やタイミングなどを解説してきました。

車体の安定性を向上させるため、サスペンションは重要な部品です。サスペンションの劣化が進むと乗り心地が悪くなり、安全性も損なわれます。

サスペンションを交換する場合は高額になることが多いので、早めに修理するか、場合によっては車を乗り換えることを検討してみてもよいでしょう。

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