物流のいま

物流効率化の最前線:課題と解決策、最新技術の活用

2024年9月22日

物流業界は人手不足や環境への配慮といった要因から、効率化が求められるようになっています。効率化をするうえで重要なのが最新技術の活用です。最新技術を活用するには、物流業界の課題や効率化のメリットを把握しなければなりません。

そこでこの記事では、物流業界での効率化を目指す方に解消すべき課題とメリット、具体的な方法や事例を解説します。物流業界になぜ効率化が求められているのか、効率化のためにどのような方法があるのかがわかる記事です。ぜひ最後までご覧ください。

物流業界の課題と物流効率化のメリット

物流業界は人手不足や配送量の増加といった課題を抱えており、効率化のメリットは大きいです。ここでは、具体的な課題と、解決に向けた効率化のメリットを解説します。

物流業界が直面する課題

物流業界が直面する課題は具体的に以下のとおりです。

  • 人手不足: 高齢化や人口減少による労働力不足
  • 配送量の増加: EC市場の成長による配送量の増加
  • コスト上昇: 燃料費や人件費の高騰
  • 環境負荷: CO2排出量の削減への社会的な要求

物流業界はブラックな印象を持たれていることもあり、若者に避けられる傾向にあります。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、業界の有効求人倍率は2024年1月時点で3.99倍です。

全体の有効求人倍率が約1.3倍と比較すると、人手不足の度合いは深刻と言えるでしょう。一方でEC市場はAmazonや楽天市場の拡大により、運送業への需要が拡大しています。物流業界はさまざまな課題を解決するために、効率化が重要です。

効率化による6つのメリット

物流業界で効率化するメリットは以下のとおりです。

  • コスト削減: 人件費、輸送費、在庫管理費などの削減
  • 納期短縮: 顧客への商品配送時間の短縮
  • サービス品質向上: 配送ミスや破損の減少
  • 環境負荷軽減: CO2排出量の削減
  • 労働環境改善: 重労働の軽減、働き方改革
  • 新たなビジネスチャンスの創出: 新しい物流サービスの開発

物流による効率化を実行することでさまざまな面で波及効果があります。例えば運送における荷運びの待機時間が減れば、運転手が効率的に荷物を運べるでしょう。

業務の効率化は配送時間の短縮につながり、今までなかったビジネスチャンスに挑戦できるリソースを確保できます。

昨今では自動車によるCO2排出を改善する動きも企業に求められる動きの1つです。効率化により運送ルートを最適化できれば、走行距離が減って環境負荷の軽減につながります。

また、効率化による労働環境の改善は人材確保のしやすさにも効果的です。労働時間が適切に保たれることで、従業員は働きやすさを感じられます。

物流効率化を支える具体的な方法

物流効率化を支える具体的な方法は以下のとおりです。

  • 共同配送と大型倉庫の活用
  • AIとビッグデータの活用
  • IoTと自動化技術の活用

上記の方法を知っていると、自社の物流をより最適なかたちで効率化できます。在庫管理や輸送ルートの最適化に役立つでしょう。

共同配送と大型倉庫の活用

共同配送は複数の企業が荷物を一括して配送することで、配送車両の稼働率を向上させ、輸送コストを削減できます。大型倉庫を利用することで在庫を一括管理できるため、出荷と入荷を効率化しやすく、スペースの無駄も減らせます。

例えば、三井倉庫ロジスティクス株式会社が大手ECサイトと共同配送を行った結果、配送コストが約15%削減されました。また、楽天株式会社が大型倉庫を導入したケースでは、在庫の回転率が25%向上し、スペースの有効活用が実現しています。

このように、共同配送と大型倉庫の活用は物流業界の効率化に大きく貢献します。効率的な配送と在庫管理を通じて、企業の競争力を高めることが可能です。

AIとビッグデータの活用

AIとビッグデータの活用は主に以下があげられます。

  • AIによる需要予測: 過去の販売データや天候データなどを分析し、需要を予測することで、最適な在庫管理と配送計画が可能
  • AIによる配車計画: 交通状況やドライバーの勤務時間などを考慮した最適な配車計画の自動生成
  • AIによる荷物の積み込み・ピッキング: 画像認識技術やロボット技術を活用した自動化による作業効率化と人件費削減
  • ビッグデータ分析による物流全体の可視化: 輸送状況、在庫状況、顧客満足度などを分析し、物流全体の最適化

具体例として、ヤマト運輸はAIを活用した「宅急便ロボット」を導入し、配送ルートの最適化に成功しました。この技術により、配達時間の短縮と配達コストの削減が実現され、配送効率が20%向上しています。

また、アマゾンはビッグデータ解析を用いて需要予測を行い、在庫管理の精度を高めています。AIとビッグデータの活用により、物流業界の効率化は飛躍的に進展しています。これらの技術を駆使することで、物流業務の生産性向上とコスト削減が可能です。

IoTと自動化技術の活用

IoTと自動化技術の活用に重要なポイントは以下のとおりです。

  • IoTセンサーによる荷物の追跡: 荷物の位置や状態をリアルタイムで追跡することで、配送状況の可視化と異常検知が可能
  • 自動運転技術による無人配送: 自動運転トラックやドローンによる無人配送の実現
  • ロボットによる倉庫作業の自動化: 商品の搬送、仕分け、ピッキングなどの作業を自動化

例えば、DHLはIoTセンサーを用いてパレットの位置や状態をリアルタイムで監視し、紛失や遅延のリスクを低減しました。これにより、在庫管理の効率が向上しています。

また、楽天の物流センターでは、ロボットアームを導入してピッキング作業を自動化し、作業時間を30%短縮しました。

IoTと自動化技術の活用は、物流業界の効率化に大きく貢献します。リアルタイム監視と自動化によって、運用の最適化と人手不足の解消が実現可能です。

最新技術の活用事例

物流の効率化に向けた最新技術の活用事例は以下があげられます。

  • スマートマットクラウドによる在庫管理の自動化
  • RFIDとハンディターミナルによる棚卸し作業の効率化

上記の事例を把握していると、自社の効率化にも役立てられるでしょう。

スマートマットクラウドによる在庫管理の自動化

スマートマットクラウドは、商品の重さや位置を感知するセンサー付きマットとクラウド技術を組み合わせた在庫管理ツールです。リアルタイムで在庫の過不足を自動的に検知、最適な補充タイミングを通知することで在庫管理の効率化とコスト削減を実現します。

例えばSGモータースは、スマートマットクラウドを導入して在庫管理の効率化を実現しました。在庫管理にかかる手作業が大幅に減少し、運送にかかわる効率が約30%向上しています。

RFIDとハンディターミナルによる棚卸し作業の効率化

RFID(Radio Frequency Identification)は、無線周波数を利用してデータを読み取る技術です。タグに埋め込まれたICチップが情報を送信し、リーダーが情報をキャッチすることで、非接触で物品の追跡や管理を実行できます。

ハンディターミナルは、バーコードやQRコードをスキャンしてデータを収集・管理する携帯型デバイスです。無線通信機能を備えており、リアルタイムで情報を更新・確認できます。

イトーヨーカドーはRFID技術を導入し、ハンディターミナルと連携して在庫管理を改善しました。RFIDタグを商品に取り付け、ハンディターミナルでスキャンすることで、リアルタイムで正確な在庫情報が得られます。

このシステムにより、棚卸し作業の精度が向上し、作業時間が従来の半分に短縮されました。さらに、在庫ミスの削減と業務効率の向上が実現しています。

まとめ

ここまで物流を効率化するうえで重要な情報を解説しました。物流業界は人手不足や需要の高まりなどの要因から、効率化が強く求められる業界です。効率化には、適切な方法を把握し、活用事例を参考にしましょう。

物流の効率化の際は、ぜひこの記事の内容を参考にしてみてください。

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